「吸う人も吸わない人も快適に過ごせる街を実現する」ーこの言葉は12月7日、都独自の受動喫煙防止を周知するため、「健康ファースト」と打ち出したシンボルマークを発表した際、記者会見で小池都知事が語った言葉です。
しかし、この表現はJTが盛んに主張している言葉と全く同じですね。「吸う人も吸わない人も仲良く」などと、勝手なことを言っていますが、これはむしろ、喫煙者が内心やめたいと思いながら吸っていることに対して、神経逆なでの言葉ではないでしょうか。
非喫煙者が、タバコを吸えない場所がどんどん増えていることを歓迎するのは当然ですが、喫煙者は内心怒っているというのが実態でしょう。「吸う人も吸わない人も快適に…」というのは欺瞞です。
「言葉」というのはとても重要で、例えば、日本でタバコ問題に大きな注目が集まったのは、41年前にコピーライター中田みどり氏が提唱した「嫌煙権」がキーワードとなってその後の「禁煙運動」の大きな水先案内となったのは皆さまご存知のことと思います。
また「愛煙家」という言葉がありますが、これも現実を無視した表現で、「煙」を愛している人などほとんどおりません。この言葉は、JTの前身、日本専売公社時代に、「愛妻家」「愛犬家」などプラスイメージの言葉の「妻」「犬」に「煙」を当てはめて、「愛煙家」としたのがルーツであり、やめたいと思いながら吸っている多くの喫煙者は決して煙を愛しているわけではないのです。
「嗜好品」も問題です。誰でも、いくつかの趣味や嗜好を持っていますが、タバコ以外に「やめたい」と思いながら続けている「趣味」や「嗜好」はないはずです。
この「愛煙家」と「嗜好品」という言葉が、多くの日本人、特にタバコを吸わない人にも悪影響を与えていると私は考えています。
「愛煙家」「嗜好品」「吸う人も吸わない人も快適に」などという言葉・表現をなくしていくことが、日本におけるタバコ問題解決の重要な課題と思います。
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