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嫌煙権運動40年と今後の課題

 1978年2月18日、四谷の小さな会議室で「嫌煙権確立をめざす人びとの会」の発足総会を行い、昨年、40周年を迎えました。
 私は、反公害運動と嫌煙権運動の2足の草鞋で取り組んでいましたが、1987年11月、東京で「タバコか健康か世界会議」の開催をきっかけに、平山雄先生と「たばこ問題情報センター」をスタートさせ、禁煙・嫌煙権運動に専念することとしました。
この40年間で、日本の状況は大きく変わりました。病院、学校、公共の場、交通機関、野球場、競技場などの喫煙規制は当たり前となり、タバコの看板や電車の中吊り広告も消えました。
 ■公共の場所、交通機関の規制進む
 1978年当時、新幹線「こだま号」にたった1両の禁煙車があったのみでした。国鉄本社に何度も足を運びましたが、聞く耳持たずでした。署名運動や国会の委員会で運輸省に質問してもらいましたが、全くらちがあきません。そこで、1980年4月、伊佐山芳郎氏が弁護団長となって、国鉄を相手どり「全ての列車の半数以上を禁煙車に」を求めて訴訟を起こしました。この訴訟は1987年3月、原告の訴えは棄却されましたが、すでに30%以上の禁煙車が設けられており、原告・弁護団は「実質勝訴」として控訴せず、判決が確定しました。
 ■「愛煙家」という言葉を死語に
 問題は職場と飲食店です。多くの国々が罰則付きで「屋内全面禁煙」を実施しています。実は、喫煙者の70%以上は、内心「やめられればやめたい」と思っています。喫煙者は決して「煙を愛して」いるわけではありません。この言葉は、専売公社が、「愛妻家」「愛犬家」というプラスイメージの言葉に「煙」を当てはめたのがルーツであり、なくすべきです。タバコが「嗜好品」と捉えられているのも問題です。
 ■タバコで国は大赤字
 医療経済研究機構が、数年前にまとめた数字があります。タバコによって医療費、火災、メンテナンスなどで大幅な赤字となっており、それらを合わせたコストは7兆円を上回るという数字でした。国家財政にとっては大赤字となっていることを、なぜ隠しているのでしょうか。
 ■国際条約の順守を
 WHOは、ブルントラント前事務局長の取り組みで「タバコ規制枠組み条約」(FCTC)を作成しました。この条約の目的は「タバコ消費の削減」と「屋内全面禁煙」です。そのために、警告表示の強化、タバコ値上げなどのガイドラインが定められていますが、日本政府は極めて消極的です。
 ■「たばこ事業法」を廃止せよ
 「たばこ事業法」は上記の国際条約にも全く反しており、早急に廃止すべきです。また、タバコの監督官庁が財務省というのも大きな問題で、厚生労働省に移管することが重要です。さらに、政府がJTの株を3割以上も保有しており、これも海外各国から奇異の目で見られていることを指摘しておきたいと思います。
 昨年、国会で「改正健康増進法」が、また、東京都議会や千葉市議会ではより厳しい「受動喫煙防止条例」が制定されました。
 今後タバコは(加熱式を含め)、「吸いづらい」「売りづらい」「買いづらい」社会環境をめざして取り組んでいくことが最重要課題です。 ※【『みんなの嫌煙権』(No.8/2019年2月18日発行号)より】


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ポイ捨てタバコ考:年間9億本?

 朝日新聞の1月15日号(夕刊)「Q&A」で「エコ」と題して海に流れ出す「マイクロプラスティック」の問題が取り上げられていました。「生き物への悪影響が心配されているけど、たばこの吸い殻も海の汚染の原因だと聞いたことがある。どういうことかな?」という問い(Q)に対して、国際的な海岸清掃を1986年から先導してきたNGO「オーシャンコンサーバンシー」によれば、(A)「2017年に世界各地で行われた海岸清掃で、たばこの吸い殻は241万本が回収され、集めたごみの3分の1にのぼる」、と結論しています。たばこの吸い殻には発がん物質が含まれ、有害物質の種類はニコチンや重金属のカドミウムなど200種類以上にのぼり、これが海に溶け出すおそれがあると警告。そして、たばこの吸い殻が海に入ると、残っているフィルターの主な原因は、木材と石油からつくる半合成繊維の「アセテート繊維」で、米サンディエゴ州立大学の研究チームは「自然界に長い間残り続け、10年ほど有害物質が漏れ出すおそれがある」と指摘しています。 「海岸で241万本」というたいへんな数字ではありますが、では「街中」(陸上)では一体何百万、何千万本になっているのでしょうか。
 私は、一昨年から不定期ですが、京王線芦花公園駅の周囲を、朝散歩がてらにタバコの吸い殻とゴミ(空き缶、ペットボトル、紙くずなど)を拾って歩いています。今年は、1月20日から再開し、以下のようになっていました。
【1月20日(77本)/21日(145本)/22日(132本)/23日(98本)/24日(108本)/25日(58本)/26日(58本)➡1週間計676本】
 たった一つの私鉄の駅の周辺、しかも朝30分だけの散歩タイムで約700本もの吸い殻が落ちているわけですから、日本全国の駅の周辺、繁華街、道路に落ちている吸い殻の数は一体どのくらいになるのでしょうか。
 ここで、はっきりとした数字を出すのは極めて困難ですが、紙巻きタバコの販売本数が約900億本(2018年)ですから、そのうちたった1%としても年間9億本ものタバコがポイ捨てされていると推定されます。この数字、少な過ぎますかナ。
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